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【冬におすすめ ほわっと温かくて優しくて、ちょっと哀しい絵本のような小説】

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冬に読みたい、温かくてちょっと哀しい物語

心が温かくなる本を読みました。

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小川糸さんの、「ミ・ト・ン」

 

舞台は、ルップマイゼ共和国。

そこに生まれた、マリカという女性の一生を描いたものです。

 

その誕生を心待ちにされていたマリカ。祖父母と両親、3人のお兄さんに囲まれて元気に育っていきます。

 

ルップマイゼ共和国というのは、贅沢なものはないけれど、豊かな森に囲まれた国で、そこで人々は幸せに暮らしているのです。

やがてマリカは恋をして、結婚。

 

ルップマイゼ共和国の女性は、結婚するときにたくさんの手編みのミトンを持参するという習わしがあるのです。

 

このミトンには、昔から言い伝えがありそこに編みこまれた文様によって、想いを伝えたり、神が守ってくれると信じられるお守りであったりもするのです。

ミトンを編むことは、ルップマイゼ共和国に深く根付いた文化なのです。

 

幸せに暮らしているルップマイゼ共和国は、やがて氷の帝国に支配されることとなります。

 

氷の帝国の支配は何十年にも及びます。

その間、人々は民族衣装を着たり、踊りを踊ったりすることは禁じられてしまうのですが、ミトンを編むということは禁じられずに済みます。

 

マリカはミトンを編み続けます。

自分のミトンであったり、大事な人にプレゼントするものであったり・・・。

 

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小川糸さんの作品は以前から好きでよく読んでいるのですが、この本は絵本のような語り口で物語が進み、心温まるとても優しい作品でした。

 

後半になると、ちょっと読み進めるのが辛くなるところもあるのですが、そんな境遇の中でもマリカはとても強い女性なのです。

そこにとても助けられたような気がします。

 

マリカを始め、ルップマイゼ共和国の人々の暮らしはわたしたちから見たらとても質素なのだと思います。

食べるものを自ら育て、また森へ取りに行き、ミトンや身に着けるものなどはほどきながら何度も作り直す、そんな慎ましい暮らしなのですが、わたしたちの何倍も心豊かに過ごしているような、そんな気持ちになりました。

 

ルップマイゼ共和国というのは、バルト三国のひとつ、ラトビアがモデルとなっています。

本の後半、小川糸さんのエッセイで、ラトビアという国が紹介されています。

 

人口わずか200万人ほどの国で、美しいミトンを手にし、心豊かに過ごしているのだというのです。

 

ラトビアも、長くソ連に支配されている時代がありました。

自分たちの文化が禁止され、辛い時代を長く過ごしてきたラトビアの人も、ミトンを編むことは咎められなかったのです。

 

その文化を大切に受け継ぎ、時代に翻弄されながら過ごしてきたラトビアという国が、この「ミ・ト・ン」という作品で、少しだけ身近になりました。

遠くて、小さな国だけど、いつか訪れてみたい。

 

寒い日に、心がほわっと温かくなるような、そんな絵本のような小説でした。

 

ミトンが欲しくなる、そんな冬におすすめの本かもしれません。

よかったら読んでみてくださいね。

 

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今日もお読みいただきありがとうございました。

 


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